頭がクラクラと揺れるような感覚がした。どこかの国に売られるのは絶対に嫌だ。でも、ここでずっとリシさんといるって、監禁生活が始まりますと言われているようなものだ。それにどちらの選択をしても、私は日本に帰ることができない。

「ほら、早く決めてください。あなたは誰かの奴隷になりたいんですか?それとも、一生僕のそばにいてくれるんですか?」

十、九とリシさんはカウントを始める。私には逃げることを考える時間すら、与えられていなかったんだ。絶望、そして日本に帰れない悲しみが心に溢れていく。

「……リシさんを、選びます……」

知らない誰かの奴隷になるくらいなら、まだ知っている人のそばにいた方がいい。それに、リシさんの近くなら逃げるチャンスがあるかもしれないから。そう自分自身ニ言い聞かせ、私はリシさんを選んだ。

「嬉しいです!梨花さんが僕を選んでくれて」

リシさんは頬を赤く染め、嬉しそうな笑みを浮かべた後、私の唇を貪るようにキスをする。唇が触れるだけのものではなく、舌の絡み合う濃厚なもの。突然のことに驚くも、逃げることはできない。