「本当に大丈夫だからっ!ねっ!?」
止めるのに必死な私と目の前で仁王立ちして行く手を塞ぐ健兄。
「昨日倒れたばっかりだろう?俺は瑠莉が心配なんだよ」
「わかってるけど!その気持ちは嬉しいよ?でも本当に大丈夫なんだって」
予想通り過保護なほどに心配してくれている。
きっとこうなってしまうとわかっていたから、健兄にはあまり知られたくなかったのだけれど、倒れてしまったとなれば別の話。
目が覚めた時にはもう連絡が行ってしまっていたし……
いや、そうだったけれども、あの時は突然中野くんに触れられたからびっくりしてしまっただけで。
油断していた私が悪い。
身構えていれば倒れるなんてことにはならなかったはずだから。
今は警戒心持ってるし、1人でだって学校に行ける。
心配して昨日の夜、おそらくバイト終わりの友香ちゃんから連絡もあって、学校の最寄り駅で待ち合わせだってしているし、1人だけど1人じゃない。
「そうは言ってもな、昨日は倒れるほどだったんだよぞ?母さんも心配だろ?」
「まぁ、心配はあるけれど瑠莉が大丈夫っていうならいいんじゃないかしら」
「……お母さんっ!」
健兄は折れない私を説得するためにお母さんに助けを求めたみたいだけれど、見事に失敗。
お母さんは私の味方をしてくれた。
「そういうことだから!行ってくるね!」
これ以上ここにいても健兄に捕まるだけだと察した私は、逃げるように家を出た。