必死に逃げたけれど、この駅で降りた人は少なくて、駅を出ると街灯も少ない真っ暗な住宅街だった。


降りる駅を間違えたかもしれない。


後ろを振り返ると、男の人が私を追ってきていた。



なんでっ……!



まさか同じ駅で降りてついてくるなんて思っていなかった。


とにかく怖くて、怖くて。


目に涙が浮かぶ。


走って逃げるけれど、運動音痴で足が遅い上に履きなれない下駄のせいで上手く走れない。


そうこうしているうちに、段々と男の人との距離が縮まってくる。


駅から離れれば離れるほど暗くなる道。


どうしよう、どこかに逃げる場所は……



「……!」



真っ暗な住宅街の中に煌々と光る明かりを見つけた。


遠くて分かりにくいけれど、きっとあれはコンビニだ。


あそこに行って助けを求めよう。


何とかそれまで逃げ切ろうと動かない足を必死に動かす。


それなのに、後ろからの足音はどんどんと大きくなっていく。


このままじゃ追いつかれちゃう……


怖い、誰か助けて。