本当はずっと思っていたんだ。


何も話さない、ちょっぴり怖そうなその瞳の奥には、そんな気持ちが隠されていたなんて。


天地くんの言葉に嘘は何一つないと思う。


チラッと見えた目は、遠くを見ていてどこか悲しそうな気がしたから。


天地くん、居心地が悪かったんだね。


それもそうだよね。


怖いものを見る目でみんなから見られてたら嫌だよね。



「天地くんは良い人だよ、噂とは全然違う」



それだけは伝えようと思った。


私には何もできないかもしれないけれど。


いい言葉をかけてあげることもできないけれど。


授業中居眠りしたり、鋭い視線だったり、ぶっきらぼうな言葉だったり……


不良って言葉に当てはまってしまいそうな一面もあるけれど、天地くんは犯罪者みたいな噂にある怖い人なんかじゃない。



「それはどーも」



お世辞じゃなくて本心だって、ちゃんと天地くんに伝わっただろうか?


天地くんの表情や口調からはわからない。