「本当にありがとう!私、プリント提出してこなきゃ行けないから……またね!」


「うん、気をつけてね」



愛里ちゃんとお別れして、カバンを取りに教室へと戻る。


もしかしたらまだ廊下にいるかもと恐る恐る覗いて見たけれど、天地くんの姿はもうなかった。


ホッと胸をなで下ろして、教室まで行き、無事にカバンを持って学校を出ることができた。


帰り道も考えるのは天地くんのこと。


噂通り、金髪で片耳ピアスをしていて、全然笑わなくて、視線も鋭くて、ぶっきらぼうで怖い見た目の天地くん。


でも、愛里ちゃんを助けていた天地くん。


確かに怖いって噂は聞くけれど、誰かが被害にあったって話は一度も聞いたことはない。


もしかして、本当はいい人なんじゃ……


私の頭の中にはある仮定ができた。


いや……でも、もう私は関わることはないだろう。


少し前に踏み出せた私だけれど、まだ手は小刻みに震えている。


天地くんが例え怖い人じゃなくても、男の人はやっぱりみんな怖い。


これはゆっくり治していけばいい。



「うん、頑張ろ」



頬をパチンと叩いて、気合いを入れ直して帰路に着いた。