ドキドキしながら琥珀くんの目の前に座った。
救急箱から消毒液とコットンを取り出す。
コットンに消毒液をつけて、そっと唇の傷口を消毒する。
琥珀くんは時折目をつぶって、痛みをこらえる表情を浮かべる。
「痛いよね、ごめんね」
「別に大丈夫」
琥珀くんは強がりなんだから。
近づく琥珀くんとの距離。
私の部屋に琥珀くんとふたりきり。
静かな部屋の中。
胸のドキドキが聞こえてしまいそう。
簡単な処置を終えて、救急箱にしまう。
「終わったよ」
「あぁ、ありがとう」
処置はしたものの痛々しい唇。
「そんな見んなよ」
「でも……っ」
健兄の誤解のせいで起きてしまった事故だし、気にしてしまう。
琥珀くんには本当に申し訳ない。