「……っ、可愛すぎ」
そう呟いた声は私には届かなかった。
「何?なんて言ったの?」
「秘密」
「え、気になる」
「絶対言わない」
こういうところは意地悪だ。
「もう意地悪っ!」
そう言って手を繋いでいるのとは反対の手でポカポカと叩いた。
琥珀くんにはなんにも効いていないみたいだけれど。
「ねぇ、本当そういうとこ、俺のこと試してるの?」
「へっ?」
いつの間にか私は道端にある塀に追いやられていて、琥珀くんに行く道を阻まれた。
「琥珀くん?」
「その上目遣いとか、笑顔見せたかと思ったら怒ったりとか、いちいち可愛すぎんの。ちゃんと自覚して?」
「……っ」
……と言われましても。
琥珀くんを困らせるためにやってるわけじゃない。
それよりも可愛いと言われて、心臓がとび出そう。



