いや、なくなっちゃったらこんなに優しくてイケメンな琥珀くんのことだもん。
他に彼女ができちゃうかも……
それはやだなぁ……
「どうかした?」
「ううん、なんでもないよ」
琥珀くんの隣を歩くのは私だけがいいなんて、恥ずかしいこと本人には言えない。
「ひとりで抱え込むなよ」
本当にそういうところ。
優しいよね。
「本当に大丈夫だよっ」
「ならいいけど」
今日も手を繋ぎながら帰る。
男の子と触れるどころか話すことさえもままならなかった私が、こうして琥珀くんと手を繋いで並んで歩いている。
こんな未来があるなんて想像もしていなかった。
「ふふ」
「何笑ってんの」
「幸せだなって思って」
そう言ってから恥ずかしいことを言ってしまったと後悔した。



