「もう一口食べる?」
そんなに気に入ったのならと、手に持ったクロッフルを差し出す。
「関節キスになるけどいいの?」
「なっ!」
せっかく気にしないようにしてたのに。
「貰うけど」
琥珀くんはそう言って、パクリと食べた。
琥珀くんは意地悪だ。
余裕そうでちょっぴりムカつく。
私ばっかりこんなにドキドキして。
琥珀くんは平気なんて、ずるい。
「……っ!」
ベンチに座って隣で、私の髪に指を通してクルクルと遊ぶ琥珀くん。
優しく触れる指がくすぐったい。
正直、クロッフルを食べている余裕なんてないくらい、意識がそっちへ持っていかれる。
恥ずかしいのに心地よい不思議な感覚。
ドキドキしているのがバレないように、必死にクロッフルを食べていると……
「ハムスターか」
「……違うもん」
そう笑われた。
あれもこれも琥珀くんがドキドキさせるせい。
「そんなとこも可愛い」
ほら、そうやって不意打ちにドキドキさせるから。
全部、全部、琥珀くんが悪いんだ。



