「……してもいい───」


「もう待てない」



重なる体。


背景には夜空に咲き乱れる花火。


花火の音のおかげでうるさい胸のドキドキは聞こえないけれど、体を通して聞こえてしまいそう。


ゆっくりと体が離れて、琥珀くんと目と目が合う。


琥珀くんの目をこんなに真っ直ぐ見たことなんてあっただろうか。


すごくキラキラしてる。



「琥珀くん……」


「ねぇ、もう1回……嫌だったらちゃんと逃げろよ」


「へっ、……わぁっ」



嫌じゃない……そう思ってしまうのは恋の魔法?


琥珀くんとなら何度だって。


琥珀くんだから。



「琥珀くん、すき」


「んな、煽んなよ、ばーか」


「あー、琥珀くん!!」



頭に乗せられた手で、髪をぐしゃぐしゃにされた。


せっかくセットしたのに。



「浴衣似合いすぎ」


「……ありがとう」



でも、褒めてくれたから許してあげる。


あんなに怖かった夏祭りの思い出が、こんなにも素敵な思い出に変わったのは、琥珀くんのおかげ。


だから、ありがとう。