今日は綺麗な夕陽で良かった。


顔が赤く染っていること、きっと琥珀くんにはバレてない。



「返事はまだいい」



琥珀くんがそう言ってくれたことにホッとする。


まだなんて答えたらいいかわからないから。


私の本当の気持ち、まだわかっていないから。



「でも、真剣に考えて」



琥珀くんの姿からは想像つかない言葉たちがどんどんと飛び出してくる。


見た目と反してそんな真面目な口調。


そのギャップにまたドキドキする。


これはなんのドキドキ?


みんなの知らない琥珀くんを見ているから?


それとも琥珀くんのことが───好きだから?



「夏祭り、約束だからな。また連絡する」



なんてお返事したらいいだろうか。


さっき琥珀くんのことは友達だなんて言って傷つけていないだろうか。


私の気持ちって?


頭の中がグルグルしているうちに、私の家に着いてしまった。



「うん、また……」



私の気持ちを置いてけぼりにして、琥珀くんは手をひらひらと振って行ってしまった。