───嘘でしょう?
いや、簡単に予想はできたはずだ。
教室へ行って席を確認すると……
「天地くんと隣……?」
“あまち”と“あいざわ”
同じ“あ”から始まる苗字は、だいたい出席番号は1番最初。
出席番号順に並べられた席は、もちろん噂の天地くんが隣だった。
「天地くんと席離れててよかった」
「私、めっちゃ席近いんだけど……怖すぎ」
教室で聞こえた女の子たちの声。
そうだよね、私もすごく怖い。
「瑠莉、大丈夫?」
「だ、大丈夫だよ、きっと」
震える手をギュッと握ってくれる友香ちゃんに笑って言葉を返すけれど、不安のせいで上手く笑えない。
「嘘だ。めっちゃ顔ひきつってるじゃん!」
「あはは……」
友香ちゃんには何もかもお見通し。
嘘なんかつけっこない。
「私が先生に言って変えてもらおうか?」
「ううん!そこまでしなくていいよ!ほら、もしかしたら天地くん来ないかもしれな……いし」



