友香ちゃんが極度に私のことを心配してくれているのもこれが理由だと思う。
確かに怖い。
不良だと噂される天地くんは、尚更。
でも、女子校へ行くとなると家から遠くて一人暮らしをしなければならない上に、唯一の支えであった友香ちゃんとも離れないといけない不安もあり、共学であるこの学校に入学したわけだけれど、これまでなんとか問題なく過ごすこともできているし、きっと関わることもないだろう。
だから───
「大丈夫だよ。少しなら男の子とも話せるようになったし、万が一会っても近づかなければ大丈夫」
「本当に?」
「うん、大丈夫」
友香ちゃんに納得してもらおうという意図もあるけれど、自分自身に言い聞かせるようにそう言葉にした。
いつまでも怖がっていたら社会に出られない。
少しずつでも克服していかなきゃ。
これは私の変わる第1歩になるはず、とはいえ。
「第一、天地くんと話すことはきっとないんじゃないかな?」
……と、この時の私はそう考えていた。



