「わかったよ。遠藤、今後瑠莉に近づいたらタダじゃ置かねぇからな」
琥珀くんがそう言い放つと、遠藤くんは返事も返さずに帰って行った。
「大丈夫か、瑠莉」
私の目線に合うように、しゃがんで話しかけてくれる琥珀くん。
なんでだろう。
琥珀くんなら、一緒にいると安心できるんだ。
他の男の子といると、怖くてたまらないのに。
「ハンカチはなくて悪いけど、これ使えよ」
琥珀くんが差し出してくれたのは、ポケットの中でカバーが少しクシャクシャになってしまったティッシュ。
それがなんとも琥珀くんらしい。
ちょっと面白くて、さっきまで恐怖に押しつぶされていたのに、ちょっと笑ってしまった。
「ありがとう、琥珀くん」
「なぁ、そろそろ俺のこと好きになれよ。そしたらもっと近くで守ってやれるのに」
「ん?何か言った?」
「いや、なんでもねぇよ」
ボソッと呟いた琥珀くんのその言葉は、私には届かない。
もし、告白してくれたのが琥珀くんだったら……
なんてほんのちょっと考えてしまった。