いくらなんでも、そんなバカな。

しかし、見慣れたその人の美声が私を現実に引き戻す。

「美春」

早く、この声で名前を呼ばれたかった…。

「春樹…どうして?」

「まったく…あんまり心配かけるなよ?」

そう言って、私のおでこを指で軽く小突く春樹。

「なんでわかったの?GPSもないのに」

「確かに、一か八かではあったけど…直感だよ」