こんな溺愛,ありですか?

願いに近い楽観をした私。
そんな私が甘かった。

気付いたのは校舎を出てすぐ。

私は,他人からの視線にひどく敏感になっていたから。

人が良く通る道に出て,ざわざわとした音を聴く。

後ろを歩く人が怖い。
だってもしかしたら,山宮くんと同じ制服を着ているストーカーが立っているかもしれないから。

ストーカーの思想なんて知らない私は,軽いパニック。

山宮くんの会話しているのに,返事がおざなりになった。

呼吸も浅くて,妙にそわそわする。



「……どしたの?」

「っぁ,はっ……え?」

「何か息,荒いから」




山宮くんが,私の顔を覗き込んだ。
まるで私の反応を,1つも見逃さないというように。



「……ごめんね。ちょっと体調悪くて」



私はまた,嘘をついた。
私を助けてくれる人を,1日に2人も偽った。

心が痛む。

良く考えたら,この状況は良くない。
ストーカーが近くにいる今,山宮くんが隣にいるのはどうなんだろう。

もし山宮くんに危害を加えたら?

あり得なくもない想像に,さっと血の気が引いた。

その時,私の後ろを歩く人がペースをあげる。

心音がドクンと頭に響いて,心拍数が上がった。