こんな溺愛,ありですか?

「しー,ちゃん?」



私は不思議そうな顔の山宮くんを引っ張って,その背中に腕を回した。



「ふっうっ……ぅわぁぁぁん」



怖い,意味分かんない。



「ふっびっくり,したっ」

「ごめん,送ろうと思って。それと,しーちゃんに近づきすぎたから謝ろうと思って」



そんなことで来てくれたの?

嗚咽をもらしてしがみつく私の背中を,山宮くんはポンポンと叩いてくれる。



「しーちゃん,なんかあった?」



泣き止んで,夜の道を2人で並ぶと,山宮くんが訊ねた。



「俺が見つけたとき,既に走ってたし。店来たときも,なんか変だった」

「……その,私ホラーとか苦手で,1人で夜道歩くなんて久しぶりだったから怖くなっちゃって」



そういうことに,しておく。