こんな溺愛,ありですか?

遠くまで目を凝らした時。

あれ,は

街灯の光が,人形に遮られている。

人影?

私は怖くなって,走り出す。

後ろの人も追いかけてきてやしないかなど,確認する勇気はない。

1つ道を通りすぎると,なぜか足音がぐっと近づく。

もしかして2人いたの!?

でも,足音どころか姿も見えない人と違って,存在を隠そうともしない追手に違和感を覚えた。

ぐっと肩を掴まれる。



「ひっ」



私は恐怖でしゃがみこむ。

ガタガタと体が震えて,相手の顔を見ることも出来ない。



「しーちゃん!」



え…



「山宮,くん?」



安心からか,ぽろぽろと涙がこぼれた。



「……そう。ごめん,そんなに驚くと思わなくて」



私は落ち着いたトーンで話してくれる山宮くんの袖をきゅっと掴む。