こんな溺愛,ありですか?

片手で口元を隠す山宮くんは新鮮で,格好いいのにどこか可愛い。



「山宮くん,はい」



私は会計を終えたばかりのカレーパンを差し出す。



「もう夕方だもん。お腹空いてるでしょ? 差し入れです」

「いや,大丈……」



私が笑いながら言うと,山宮くんは断ろうとした。

それを遮るのが真知さん。

母は強し,である。


「良いじゃない。貰っときな優。あんたの部屋でもあげたげて」

「母さんそれは……はぁ,まあいいわ。汚いけどい?」

「え,でも」



私ただのお客さんなのに。



「いいのいいの。細かいことは。優の友達としてあがるならなんの問題もないんだから」



私が視線を移すと,真知さんは朗らかに笑う。

確かに……?

私達が友達なのかは未だ謎だけど,同級生な訳だから。