こんな溺愛,ありですか?



そんな爆弾を落としてくるしーちゃんに俺は

……



「へぇー」



と据わった目で気のない返事をした。

しーちゃんはハッキリと辰馬くんと言った。

いろんな意味でバカだから。

本人は話すのに夢中で気づいてない。



「仕事に戻るのが嫌なんだって」



俺はしーちゃんの危機感のなさと鈍感さを前に,頭が痛くなった。



「あっいい匂いしてきたね! 今日はなにパンがいいと思う?」



俺の気を知らないしーちゃんは呑気に話を移す。

お店が見えてきて,それと同時にいい香り。

俺んちの匂い。

俺は少し考えて



「クリームかあんこかカレー」



俺が今食べたいと思うパンを挙げた。

するとしーちゃんはくすくすと可笑しそうに笑う。

なにか変だったかな。

例え変でも,しーちゃんが笑ってくれるならいっか。
              山宮side終