「資料室で備品探しだったの」
「資料室? 生徒は入っちゃいけないんじゃないの」
あの担任と密室。
それだけで俺は眉を寄せる。
「そうなんだけど……」
尋ねるとしーちゃんは,どこか親密さを感じさせるような,仕方ないなぁといった風に笑った。
「バレなきゃいいんだって」
「俺に話してるからだめじゃない?」
俺が何故か付きまとう不愉快さを隠さずに言うと,しーちゃんはすっとんきょうな顔をして,また笑った。
「変なの! 山宮くんはわざわざ報告したりしないでしょ? そんなめんどくさいことするなら寝てるじゃん」
俺のことを分かってるみたいに話すしーちゃんに,俺は一瞬,なぜか戸惑った。
「そんなこと」
確かに,普通ならしないかもしれない。
どうせ教師も関与してるなら注意で終わることだし。
そもそも興味もない。
でもしーちゃんが相手なら,報告するかもしれないよ?
そしたらもう入れなくなるから。
「あっ結局備品は私が見つけたんだけど,そしたら辰馬くん舌打ちするの」



