こんな溺愛,ありですか?

私は笑うのをやめて,さらに笑う。



「変なの! 山宮くんはわざわざ報告したりしないでしょ? そんなめんどくさいことするなら寝てるじゃん」

「そんなこと」



図星だったのか戸惑った様子を見せる山宮くん。

私は構わず続きを話した。



「あっ結局備品は私が見つけたんだけど,そしたら辰馬くん舌打ちするの」



折角見つかったのに。

私が変だよねって山宮くんを見上げると



「へぇー」



と据わった目で気のない返事をする。



「仕事に戻るのが嫌なんだって」



備品探しも仕事なのに。



「あっいい匂いしてきたね! 今日はなにパンがいいと思う?」



お店が見えてきて,それと同時にいい香り。

私が尋ねると,山宮くんは



「クリームかあんこかカレー」



と言った。

選択肢が多いよ,山宮くん。

私はまたくすくすと笑う。

山宮くんといるの,楽しい。