こんな溺愛,ありですか?

「待たせといてなんだけど……やっぱり今日は」

「やめないよ。約束したでしょ? それに,突然離れる方が不自然」



そういうもの,なのかな。

放課後になって手伝いを終えて,山宮くんのもとに行くとちゃんと待っていてくれた。

もしかしたら女子なんかが一緒にいるかもしれないと構えていたけど,山宮くんは1人で,なんだか拍子抜けする。



「今日も早かったね」

「だってすっごく急いで終わらせたからっ」



山宮くんの質問に,私は語尾を上げて返した。

今日は遅くなるかもしれないと思っていたから。



「資料室で備品探しだったの」

「資料室? 生徒は入っちゃいけないんじゃないの」



確かにあそこは小学校だろうが中学校だろうが必ずある立入禁止の場所。



「そうなんだけど……」



辰馬くんのあの性格だ。

思わず苦笑して,私は答えた。



「バレなきゃいいんだって」

「俺に話してるからだめじゃない?」