クラスメート1人に対して,いつになく饒舌な山宮くん。

多分大した処置はされないと思けど,親に話が行くかもしれないと怯える生徒は少なくない。



「わっ分かった」



私に話しかけた女の子は,顔に色々な感情をのせて,パタパタと廊下に走っていってしまった。

ーふっ

私はパッと振り返る。

あれ,今なんか……



「しーちゃん?」

「なっなんでも……ない」



気のせい,かな。



「しーちゃんおっはよ~! ……あれ? なんかあった?」



今の事でか抱いた少しの不安感は,元気ななっちゃんの声で吹き飛んだ。



「なっちゃんおはよ!」



隣を見ると,山宮くんはまたうつ伏せている。



「おい座れ~。とっくにチャイムなってんぞ。あ? 花沢遅刻か?」



すぐに辰馬くんもやって来て,なっちゃんに目をとめた。



「まっまさか! 荷物置き忘れてただけですよ~っと」



…嘘だよね。



「まぁいいわ。興味ねぇし」



私は2人のやり取りを前に,くすくすと笑った。