こんな溺愛,ありですか?

私は諦めて,今度は黒板の方を見る。

そこにはこの教室で唯一喋っている辰馬くんがいて,私はその説明に耳を傾ける。

そしてすぐに思考が関係のないところに飛んだ。

辰馬くん,なんで彼女出来ないのかなぁ。

辰馬くんはイケメンに分類される。

頭だって良くて,授業の説明も分かりやすく,普段の乱暴さは見えない。

きっと彼女とか記念日とかも,大事にする方だと思う。

なのに,いない。

辰馬くんの良さが,普段の態度の悪さに隠れてすぐに見えるものでないからか。

それとも単純に辰馬くんのお眼鏡にかなう女の人がいないからなのか。

謎だ…

1度だけいたことがあるのも私は知っている。

すぐに別れちゃったけど。

確か私が彼女と一緒に帰っている辰馬くんを目撃して,その後ですきなの? と聞いた日のすぐだったと思う。

……好きじゃなかったのかな。

ーコッ……トット