こんな溺愛,ありですか?

「……静香?」



いきなり声をあげて立ち上がった私に,辰馬くんがチョークを止める。



「なっなんでも,ありません」

「…そうか,ちゃんと集中しろよ」

「はい」



何もかもが恥ずかしくて,私は赤くなった顔を覆って座った。

隣でくすくすと笑う声がする。



「しーちゃん。だめじゃん,授業中に立ったりしたら」



山宮くんがいたずらに笑う。

自分だっていつも寝てるくせに!



「だいたい山宮くんが……!」

「俺が,なに?」

「そ,れは」



分かってるような素振り。

ちょっと卑怯だ。

私が言えないことを分かってて。

山宮くんが可愛いとか言うから…!!



「意識,しちゃった?」



ひゅっと息が止まる。