こんな溺愛,ありですか?

聞こえるのは,おっというみっちゃんの声。



「じゃあ,山宮くんで」



名字にさん付けなんて慣れなくて,心の中ではずっとそうだったから。

私もすっと口から出る。

そんなことより



「名前,ちゃんと知らなくてごめんね」

「ん,いいよ」



ぽんっと頭を撫でられて,私はどうしていいか分からなくなった。

少し小さくなりながらなっちゃんを見上げると,彼女はころころと笑って



「前途多難だね。もうちょっとゆっくりか,いっそグッと攻めるか」

「……そうだね」



山宮くんと言葉を交わした。