こんな溺愛,ありですか?

他に,なんて呼べば良いんだろう?



「しーちゃんさ。俺のフルネーム,知ってる?」



山宮くんのフルネーム?

クラスメートは一応名簿に目を通してある。

山宮くんは確か……



「山宮……ゆう,さん?」

「ちょっ」



なっちゃんは慌てた様子で私に近寄り,小声で話す。



「しーちゃん! 違う。惜しいけど違う!」



えっ違うの!?

私ってばすごく失礼なことを…

さあっと顔から温度がひいていく。

でも優ってあった気が…



「……はぁ。すぐる」

「へっ?」

「優しいの優で,すぐるって読むの」

「そっそうなんだ,へぇぇ」



乾いた笑い声。

いや,誤魔化しちゃ,ダメ。



「ごっごめ」

「謝らなくても良いから,罰として俺のことは山宮くんか優くんか優って呼んで」