こんな溺愛,ありですか?

「おっはよー! 今日は一緒に帰れる? 私も今日なら雑用とか手伝えるし!」



なんて,いい人なんだろう。

私は登校早々感涙しそうになった。



「だめ」

「「え」」



隣から手が伸ばされ,私の体は少し傾く。



「山宮く…さん。なんで?」

「俺が一緒に帰ろうと思ってたから?」

「えっそうなの!?」



なっちゃんが驚いたように声をあげて,私はパニックになった。

なんで。どうして。そんなの聞いてない。



「嫌?」



頬杖をついている綺麗な顔がこれまた綺麗に傾いて,私は言葉を詰まらせる。

こんなの断ったら私,ブタ箱行きなのでは?



「嫌では,ない,です」



ただ,ちょっと申し訳なくて。

今日もきっと辰馬くんに呼ばれるし,私は山宮くんほど早く歩けないから。