アメリカから出られない!

「女の子がほしかったんだけど二人目ができなかったから、こういうのに憧れてたのよ。オーウェンは料理ができないから」

母がサラダをフォークに刺しながら言うと、オーウェンは「うるさい」と不機嫌な顔をしながらパンを頬張る。

「すまないね、反抗期がまだ終わってないみたいで」

父に話しかけられ、私は「いえ。弟が増えたみたいで楽しいです」と笑顔で返す。だけど、私が「弟」と言った時、オーウェンはどこか寂しそうな目で私を見ていたことに、気付いていなかった。



皿洗いは夫妻がすると言ったため、その言葉に甘えて私とオーウェンは予定より早く家を出て映画デートを楽しんだ。

「映画、どうだった?」

「すごくかっこよかったね!あんな風に空を飛んでみたいって思っちゃうな」

映画館の帰り、オーウェンと一緒に見たアクション映画の感想を言いながら帰る。私たちはアクション映画が好きで、こうして時々映画館に足を運ぶのだ。

「ジュースとポップコーン、奢ってくれてありがとう!でもまた返すから」