~メイの部屋~

テラ最上階にあるラブの部屋の一つ下に、メイは住んでいた。


「どうぞプリンセス様、お入りくださいませ~」

「メイ、プリンセスはやめて。シーラでいいわ」

「はい、シーラ様。ハハ。新曲は、寝室で聴けるからどうぞ。プレイ!って可愛ぃ~く叫べばかかるわ。私は、このうっとおしい包帯を外してくる。アイ、ヨロシクね~」

撃たれた傷は、ほぼ完治していたが、気を遣ってくれるみんなが面白く、わざと包帯を巻いていたのである。

ベッドに腰かけたシーラは、できるだけ可愛く

「ぷれい」

と言った。

意地悪にわざと少し間をおいてから、アイが新曲をかける。

(ほっ)

やれやれと言った表情のシーラは、歌に聴き入った。

「シーラ、ちょっと上の部屋へ行ってくるわね」

何もなしでは少し痛むため、ラブが良く使うサポーターを取りに行った。

「え~と…確かこの部屋に…。あらら、全くラブったら、全然帰ってないのね」

一月前に見たままの状態であった。

「あった!これこれ。借りますよ~ラブ777

その瞬間、

「ドーンッ💥」

メイの足の下が揺れた。

「えっうそ⁉️…シーラ!…シーラ⁉️」

サポーターを着けようとしていたメイは、上半身裸のまま部屋を飛び出した。


テラスで、ロブたちと話していたラブとバーンが、TERRAを見上げた時。

最上階近くの小さな窓が光った。

「メイ⁉️」「シーラ⁉️」

ラブとバーンは、ほぼ同時に建物の中へ駆け出した。

(アイ、何があったの?)

(メイ様の寝室が爆発しました。メイはラブの部屋にいて無事ですが…シーラ様がまだ…)

(分かったわ。今向かってるから、みんなを誘導して)

テラの防災設備は完璧である。

実際、爆発から三つ下のフロアでは、何も気づいておらず、特殊ガラスの窓も割れることはなかった。

「シーラ!シーラ!」

排煙装置が働き、視界が回復してきた自分の部屋へ、メイが入って行く。

外とは違い、内部はメチャクチャであった。

「シーラ!どこ?返事をして❗️」

かすかに声がした。

「メイ!こっち、トイレよ」

急いでトイレの前の瓦礫をどかし、力ずくでドアを開ける。

そこには、便座でもがいているシーラがいた。