~テラの地下基地~

「ティーク、ラブは無事よ」

「そう簡単に死なれては困る」

素っ気なく答えてはいるが、5秒間隔で通信モニターを気にしていた彼を、アイは知っていた。


そこへ、ヒールの刻む高い靴音が、優雅なリズムで現れた。

「その通りでございますわ。ラブさんには、どうしても会ってお聞きしたいことがありますからね」

ヴェロニカであった。

ラブが空母を飛び立った後で、彼女はアイに、海中で見たラブの事を話した。

彼女は恐らく地球上で最も優秀な科学者と言ってもいいであろう。

考古学にも長けていて、世界数ヵ所の遺跡に刻まれた『紋章』を知っており、その研究の第一人者でもあった。

ラブの秘密の入り口に辿り着いた彼女。

その優秀な知能、そして何をも恐れない純真な心。

アイは、それを買ったのである。

恐らくそうでもしないと、きっと彼女は、この先ずっとラブに付きまとい、謎解きを続けるであろう。

それは同時に、命の危険に繋がるのである。

恐らく、ラブもこうすることを、アイは分かっていた。

こうして、頼りになる仲間が、また一人増えたのである。



残っていた13の研究所は、その後廃止され、次世代エネルギーは、宇宙空間での太陽光開発に絞られて行った。

ジーグが伝えられなかった「悪魔」が、息を潜めていることを、まだ誰も知らなかった…。



〜エピソード2・謎の訪問者〜  完