「鬼島の街」へ30台程の黒塗りの車が向かっていた。

最初から、山崎の狙いは鬼島の本拠地であった。

統率者のいない組の士気は脆い。
鬼島の留守を襲う計画であった。

が…

その街へと架かる最後の橋にさしかかった時。
反対から、サイドカー付のバイクが現れた。

「さて・・・、行くぜ」

「やれやれ、いい加減、お前の運転に嫌気がさしてたところだ」

バイクが止まる。

運転していた男が、背負っていた小型のバズーカを構える。

「殺すなよ」

「やつらの運がよけりゃあな」

「バシュ!」

「ドーーンッ💥」

先頭車の目前で爆発した。
行列が一斉に急ブレーキを踏む。

「バッカヤロー❗️何やってんだ❗️」

どなり散らす男たち。

そこへ、両手に刃《ヤイバ》を持った人影が、高速で走り込んで行った・・・。




~山崎の城~

廊下へ出た瞬間、右にいた護衛の顔面に、鬼島のパンチが炸裂した。

「バンッ!」

顔を抑えてよろめく男の胸から銃を奪い、逆サイドの男の肩へ一発打ち込む。

そのまま鬼島は、玄関へと続くガラス張りの廊下を猛ダッシュした。

反対側から複数の護衛が現われる。
とっさにガラスを撃ち破り、外へと転がり出る。

すぐさま起き上がり、ゲートへと走る鬼島。
背後から大勢の護衛が追い、激しい銃弾が鬼島を襲う。

「グァッ!」

右足と左肩に激痛が走る。
それでも鬼島は倒れなかった。

走りながら後方に向かって銃を乱射する。
そうして、大きな門の扉へと辿りついた。

それを城の窓からライフルが狙う。

「撃て」

そばで、山崎が命じる。

「ダンッ❗️」

「グっ・・・!」

振り向いた鬼島の胸を、銃弾が撃ち抜いた。
扉にもたれて、胸を押さえる。

「くっそがぁ❗️」


門のインターフォンから、山崎の声がした。

「哀れよのぉ。何も守れず、何もできず、ただ死んで行く。それがお前たち親子の運命よ」

「冗談じゃねぇ・・・。キサマには絶対この都会《まち》は渡さねぇ❗️」

「ダンッ❗️」

「グッ…」

立ち上がろうと伸ばした腕を銃弾が打ち弾く。
たまらず倒れ込む鬼島。

(クッソー・・・まだ・・・死ねねぇ。・・・待ってろよ・・・必ず助けに帰るからな・・・)

その時。

(伏せて)

頭の中で声がささやいた。