ラブが5秒ほど目を閉じた。
そして、その口を開いた。

「違うとは・・・言いません。そして、分かってくださいとも言いません」

口元から血が一筋伝い、膝の上で握り締めた拳へと落ちる。

「私は、この地球《ほし》を愛しています。ここに生きる全てのものを、心から愛しています」

涙で目の前が霞んだ。

「愛しているからこそ、今この世界に、真実を明かすことはできないのです」

ラブの「真実」は、地球人類の常識を覆し、この文明の進む道を大きく変えてしまう恐れのある秘密であった。

その果てには、「滅亡」の文字が浮かんでいるのである。

「私は、愛するこの星を、この命の全てを懸けて、守りたい❗️だから・・・どんなに攻められても、例えこの体を切り刻まれようとも、絶対に・・・言えない❗️」

悲痛なラブの表情に、一瞬静まるスタジオ。

が、収まるはずはない。

「ふざけるな!何を隠してる?」

「このごに及んで、話せないですむか❗️」

専門家の意地と興味心が興奮していた。

歯を噛み締めて耐えるラブ。

山本は、もう見ていられなかった。

「局長!これ以上続けられません。放送を中止して!誰か、止めて❗️

その時、

「バーンッ⁉️」

スタジオの奥のドアが吹き飛んだ。
T2である。

そして、その脇をすり抜け、もの凄い勢いでメイが走り込んできた。

その勢いのまま、テレビカメラへ飛び蹴りを食らわす。

「ガッシャーン❗️」

カメラが倒れる。

そのまま、ひざまづいたラブを背に、仁王立ちするメイ。

「お前ら!今までどれだけラブに助けられたと思ってんだ❗️ラブがいなきゃ、とっくにこのホシ(地球)は終わってんだぞ!フザケんな❗️これ以上、ラブをいじめたら、私が許さない❗️文句あるヤツは前に出ろ。ぶっ飛ばしてやる」

持って来たバッグから、撮影用のダイナマイトを取り出すメイ。

「メイ⁉️」

「もう大丈夫だからね。私がラブを守ってあげる」