ヒトミを池に沈めた晩はなかなか寝付くことができなかった。


夕飯の席でも気分が浮かず、沢山の屋台のご飯が食卓並んでもたこ焼きを一個食べただけで終わった。


葬儀の準備を手伝ってくれていた村の人達は今はもう1人もおらず、みんな帰ってしまっている。


ヒトミは蘇ることが決まり、もう葬儀の準備を必要としていないからだ。


それはわかっているつもりだけれど、祭り自体が本物だと思えない僕はヒトミの体は池に沈んだからもう用無しになったようにしか感じられなかった。


モヤモヤとした気分を抱えていると、結局夜が開けるまで寝付くことができなかったのだった。


ようやく眠りについて1時間ほど経過しただろうか。


味噌汁の薫りがして目が覚めた。


布団の上に上半身を起こしてその香りを確認し、客間を出る。