復活の村

それならスマホを持っていかなくてもいいかと一度は思ったけれど、そこは現代人だ。


なんらかの手段で誰かとつながっていないとどうもソワソワしてきてしまう。


たとえ使えなくてもスマホを持っていれば安心する。


そういう理由で持っていくことに決めた。


すべての荷物を整えた時、玄関チャイムがなった。


ドアスコープから覗いてみるとヒトミが大きなキャリーバッグを片手に立っているのが見えた。


その様子にクスッと笑ってしまう。


まるでこのまま実家に引っ越しでもしそうな勢いだ。


「よし、じゃあ出発するか」


僕は重たい旅行カバンを手に、玄関を開けたのだった。