巫女さんの言葉に何度も頷き、来た道をもどり始める。


石段には誰の姿もなくて、僕はまた首をかしげた。


「神社にいく人たちはみんな石段を使わないのか?」


「今日は特別なんだ。復活祭のときにこの石段を使えるのは神主さんと選ばれた家の人間だけ。だから、他の人達はみんな裏から上がってくるんだよ」


ユウジくんの説明でようやく納得した。


だから行きも帰りも誰にも会わなかったのだ。


それにしても、ユウジくんの表情からは不安の色が消えて声もこころなしか元気になっているみたいだ。


やっぱり、本人もうまくいくか不安だったんだろう。


だけどこうしてうまく行っている。


後はこのお守りをヒトミに握らせて、その体をあの池に……。