ヒトミが選ばれたことに大喜びをした家族たちは、さっそく赤い花を持って神社へと向かった。


僕もその最後について石段を歩いていく。


「この後はお守りをもらうんだっけ?」


僕の前を歩くユウジくんへ小声で聞く。


ユウジくんは前を向いたまま頷いた。


「そう。お守りをくれるのは神主さんじゃないから、花を移動したことはバレない」


「花がどの家に置かれるのか知っているのは、神主さんだけ?」


その質問にユウジくんはまた頷いた。


それならどうにかごまかすことができるかもしれないと、ひとまず安堵する。


しかし心臓破りの石段は相変わらずで、祖母も一緒に登っていることもあって僕たちは何度も休憩を挟んだ。