復活の村

☆☆☆

ヒトミの実家へ向かう当日。


僕は入念に荷物のチェックをしていた。


「着替えに、充電器に財布……」


なにせ村に行ってしまえばATMすらないというのだ。


病院も警察も村の外にあり、車がなければなにもできないらしい。


僕もヒトミも車は持っていないから、電車とタクシーで村まで行くことになる。


途中で忘れ物に気がついても、電車が来るのは1日に2度だけ。


取りに帰ることも買いに出ることも難しい。


「よし、これでいいな」


最後にヒトミの家族へ送る手土産を確認してようやく人心地がついた。


まさかスマホの電波が届かないなんてことはないよな?


昨日ヒトミに冗談混じりでそう質問してみると、ヒトミは真剣な表情で駅まで出れば使えるよ。と言っていた。