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復活祭当日、僕はいつもどおりキッチンへやってきて、準備されている食事に手をつけた。


僕が今までと同じように食卓についていてもヒトミの家族はなにも言わない。


僕を攻めることも、慰めることもない。


静かで重苦しい食事が終わると僕はユウジくんに呼ばれて、また部屋を訪れた。


「今日は復活祭だから、みんなソワソワしてるんだ」


「そんな風には見えなかったけど」


「ばあちゃんなんて2度も漬物を床に落としてただろ」


ユウジくんはおかしそうに笑ってみせた。


だけどのその笑顔は引きつっている。


「みんな、ヒトミが選ばれるかもしれないと思っているのか?」