80を過ぎているあの人なら、前回の復活祭の話を十分に聞いてきたことだと思う。


「どうして昼からなんだ? 午前中に花が飾られるかもしれないだろ?」


「だとしても、探せばすぐに見つかるよ」


この村には民家が30軒ほどしかない。


その中で復活に選ばれるのはこの家を入れて4軒だけだ。


確かに探し出すのは簡単そうだ。


「でも、花を飾り終えたらチャイムが鳴ると言っていたじゃないか。そのチャイムが鳴ってから探したんじゃ遅いだろう?」


「大丈夫。チャイムは夕方まで鳴らない。花を飾ったから出てきていいというだけの合図だから、飾ってすぐに鳴るわけじゃないんだ」


なるほど。


少しはちゃんと考えているみたいだ。


「それで、ユウジくんは本当に死者が復活すると思っているのか?」


その質問にユウジくんは充血した目を見開いて、視線を空中にさまよわせた。


即答できないということは、信じていないのかもしれない。


外では風が強く吹き荒れて、今日1日は外に出ることもできなさそうだった。