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長い階段を登るのも、下るのも一苦労だった。


下る時は少しでも足を滑らせれば下まで落下してしまいそうで何度もヒヤヒヤした。


それに対してヒトミはこの神社の石段になれているようで、トントンとリズムよく降りていた。


「ふぅ、やっと降りてきた」


石段を最後まで折りきって振り向くと、ヒトミが最後の一段をピョンッと飛んで折りるところだった。


「ヒトミは案外足腰が強いな」


「へへっ。この石段で鍛えられてきたからね」


ヒトミは自信満々に答える。


境内の自販機で購入したジュースを飲みながら再びあるき出す。


カラカラに乾いた喉にオレンジジュースが染み渡っていくようだった。


「村唯一の自販機よ」