「ここが神社だよ」


昨日鳥居を見た場所までやってきて、ヒトミは足を止めた。


神社は急な石段の上にあり、その奥の方は見えないほど高い位置にある。


「これだけ奥まった場所にあると、登るのが大変だな」


せっかくここまできたのだからと石段を登っていると、僕ですら息切れしてきてしまった。


村の年寄連中では決して最後まで登り切ることはできないだろう。


「もちろん、裏から入れば車が通れる道があるよ」


ヒトミがそういうので納得した。


歩いて登るにしてもきっとそっちの道の方が楽なことだろう。


どうにか最後まで登りきったとき、すっかり汗でシャツが背中に張り付いていた。


境内へ抜けると涼しい風が吹いてきて、それでひとごこちがついた。


「明日のお祭りの準備で忙しいみたい」


境内では沢山の村人たちが行き交っていて、屋台の骨組みもできあがりつつある。


明日は天気もいいみたいだし、祭り日和になりそうだ。


「お参りして戻ろうか」


ヒトミに促され、僕たちは賽銭箱へ向かったのだった。