ちょうど玄関横の階段を降りてくる音が聞こえてきて自然と視線が向かう。


「みんな、こんな朝早くからどうしたの?」


ヒトミが眠そうな目をこすりながら降りてきた。


ピンクのパジャマ姿で、剥けた皮膚を守るように包帯を巻いたヒトミに僕と母親は釘付けになってしまった。


ヒトミの口元と首周りにベッタリと赤いシミがついているのだ。


それはまるで獣が生きた動物を食べた後のような有様で絶句してしまった。


「ヒトミ、あなたそれどうしたの!?」


いち早く反応してヒトミの腕を掴んだのは母親だった。


「え、なに?」


ヒトミは驚いた視線を母親へ向ける。


「血だらけじゃないの!?」