帰宅すると家族たちは微かな距離を保ったまま、僕とヒトミを見つめた。


僕の隣に立っているのはヒトミであって、もうヒトミではないのかもしれないと、僕自身思い始めていた。


「夕飯はオムライスよ」


重たくなる空気をかき消すように母親が元気に言い、キッチンへ向かった。


普段ならその隣でヒトミも手伝うのだが、今日はユウジくんが手伝うことになっ

た。


ヒトミに手伝わせたらどうなるか、今ではわからないからだ。


ヒトミが戻ったきた日、朝の味噌汁の匂いに感動した。


もう1度ヒトミの料理を食べることができるのだと、涙が出るほど嬉しかった。


でも今ではそれもしぼんで行き、これから先のことが不安で仕方がない。