「よかったです……!」
これでホッと一安心する。
「これ店に置いててもおかしくないくらいうまい」
「そ、それは言い過ぎなんじゃ……」
「まじで。ほんとそれくらいうまいんだって」
いくらなんでもそれは話を盛りすぎなんじゃないのかな。
だって私のお菓子は、ほんとに普通の素人が作ったものだから。
「瑠衣、もしかしてあんま自分のお菓子食ってねーの?」
「あ、えっと……味見は一応するんですけど、完成してからはお母さんに味見してもらったりで」
そういえば私、あんまり自分のお菓子食べたことないかも……。
「だから自分のお菓子がどれだけうまいとか分からないのか。じゃーこれ、食ってみたら」
と、先輩が袋からひとつ取り出したマドレーヌを私の口元へと向ける。
「へっ……?」
「食べたら分かると思うけど」
「いやっ、あのっ、先輩……」
これはちょっとさすがに無理があるのに。
「いいから食べてみろって」



