あわわっ、大変。笑っちゃったから、怒らせてしまったのかも……っ!
「あのっ、べつに先輩のことをバカにしたわけじゃなくて……っだから、怒らないでください……!」
ぎゅっと身を縮めていると、
「は? 怒る? 誰が?」
「……え? 先輩、怒ってたんじゃ……」
恐る恐る顔を上げて先輩を見つめると、
「瑠衣が俺のこと見て嬉しそうとか指摘するからだろ。表情が緩むとか自分では分かんねーじゃん。だから、俺今そんな顔してんのかって思うと、ちょっと恥ずかしかっただけ」
怒っているというよりは、どちらかといえばムスッとしている方がしっくりきて。
「……怒っては、ないんですか?」
「そ。だから、あんまこっちばっか見すぎんなよ」
少しだけそっぽを向いた先輩の横顔は、少しだけ赤く染まっているようだった。
そっか……。先輩でも恥ずかしいって思うことあるんだ。
「つーか、これもうまいな」
ひと口ぱくりと食べた先輩は、分かりやすく表情を緩める。



