「いえ、私も……。返事が遅くて、というかまだできてなくてすみません……」
どうしようって考えたんだけど、結局答えはまだ決まってなくて……。
「いや、瑠衣は悪くないから」
謝る先輩は、心なしが耳が見える。
まるでしゅんと垂れた耳が付いているみたい。
そんな顔してほしくない……。
「あの、これ……食べませんか?」
答えを決められていないのに、お菓子をあげて期待させるのはよくないのかもしれないけど……
「それ、なに?」
「あ、えっと……トリュフです」
先輩、分かるかな……。
「あ、えーっと、チョコレートと生クリームで作ってるんですけど……すごく口溶けの良いチョコレートって感じで……」
私が説明している間、先輩は、トリュフを一摘みすると、まじまじと見つめていた。
先輩は、みんなが噂するほどすごくかっこよくて、そばにいるだけでどきどきしてしまうけど、お菓子を見ている先輩は少し可愛くて……。



