「するよ、ふつーに」
かすれた声が、ぽつりとつぶやく。
「好きな子と密着しててどきどきしないやつなんていない」
「でも……先輩は、かっこよくて人気者で、こういうことに慣れてるんじゃ……」
「慣れてねーよ。俺、こんなことするの瑠衣が初めてだし」
へ、うそ……。
「……私がはじめてなんですか?」
「そりゃそうだよ。つーか好きな子だっていなかったのに、こういうのに慣れてたら俺どんだけ軽いやつだよってなるだろ」
私が先輩のはじめて……。なんだろう、すごく心がふわふわする。
「えへへ」
嬉しいなあ……。
「なに笑ってんの」
少しムスッとした声が落ちたあと、背後から私の顔を覗き込む。
「先輩の好きな人が私で……先輩のはじめてが私なんだなぁって思ったらすごく嬉しくて」
こういうことを幸せって言うのかな。
今、幸福感で満たされている。



