「楠木さんは、平野先輩のこと好きなんだよね?」
「そ、れは……」
好き……なのになにも言えない。
あんなことをされたあとでも、先輩のこと嫌いになれなかった。
私、いつの間にこんなに先輩のこと好きになっていたんだろう……。
「好きな人に好きな人がいたらそりゃ辛いよね。俺も辛かったから、その気持ち分かるよ」
嬉しそうな悲しそうな顔をして、微笑む。
「諦めようって思ったこともあった。でも……好きな子が泣いていたら見て見ぬふりはできない」
好きな子……? 日向くんは、一体なんの話を……
「楠木さん……俺、きみのことが好きだよ」
「………へ?」
えっ……私のこと?
「泣いてた姿見たら俺、楠木さんのこと諦めたくない。俺が……楠木さんのこと支えたい」
「日向くん……」
私のことを好き?
えっ……でもそんなそぶり今まで一度だってなかったのに。
「こんなときにごめん。でも俺、やっぱり楠木さんのこと好きなんだ」
私の手のひらに触れると、優しく包み込む。



